独Netflixの問題作『ドッグス・オブ・ベルリン』を徹底レビュー

Cinema

2007年にアメリカで始まったNetflixによる定額動画配信サービス。その勢いはとどまる所を知らず、日本を含めた世界中にそのサービスの範囲を拡大させている。

魅力的なオリジナルコンテンツを配信する事が定評のNetflixだが、その多くはアメリカで製作されたハリウッド的な作品が占める。

しかし、近年では多市場への拡大に合わせるように、アメリカ以外で製作されるオリジナル作品も徐々に増えつつある。日本ではテラスハウスの続編製作で話題を呼んだ。

そして昨年、ドイツのNetflixからオリジナル作品として「Dogs Of Berlin(邦題:ドッグス・オブ・ベルリン 〜運命と選択〜)が公開された。

これはドイツ語を日々学んでいる自分としては求めていたようなコンテンツだ。もちろんVPNを変えればドイツで製作された作品は多く見ることもできるし、なにより字幕変更機能が充実しているので吹き替えであればアメリカで作られた作品でもドイツ語で楽しむ事ができる。しかし作品のクオリティ・ドイツ語文化圏独特の描写を考慮すれば、こういった潤沢な資金を用いて製作されたドイツ産のNetflixのオリジナルコンテンツは貴重だ。Stranger Thingsのような作品と比べれば今作は日本でもそこまで人気ではないが、かなり見応えがあるドラマである事はまず最初に断言しておきたい。しかし、様々な意味で見るに耐えない描写が多いので、心臓に悪いことはしたくない人にはあまりオススメしない

あらすじ

物語の舞台はベルリン。主人公のクルト・グリマーはベルリンで警察官をしていて、妻子と一軒家を持った平凡かつ 理想的なドイツ人の暮らしをしていた。しかし一方で彼は不倫やネオナチとしての過去の経歴、そしてマフィアとの汚い金銭面での繋がりを持っていた。ベルリンでサッカーのW杯が開かれていたある時。ドイツ中がその熱狂に包まれる中、一番のエースと目されていたトルコ系のオルカン・エルデムが何者かによって殺害される。クルトは出 世を画策しこの事件を極秘裏に解決することを考えるが、彼のネオナチとしての過去を持つ彼に上層部は難色を示した。殺害されたエルデムがトルコ系である事から、クルトは同じトルコ系のエロールとコンビを組まされる事となる。エロールは同性愛者でありクルトはトルコ系である事を含めて軽蔑するクルトとタッグを組む事に抵抗感を覚えるが、出身地区のカイザーヴァルテに拠点を置くアラブ系マフィア・タリクアミールの事件との関与が疑われる事から行動を共にするようになる。

評価

この作品ははっきり言って見るに耐えないほど残虐だ。しかし、見るに値する代物である事は間違いない。アタリだ

その理由は2つある。

まず、本作では近年タブーとされるようなドイツ国内で(あるいはヨーロッパ全域で)起こっている諸問題を写実的に描いている。殺害されたトルコ系サッカー選手のエルデムについての描写はトルコのエルドアン大統領と握手した元ドイツ代表のエジルのそれを明らかに指しているし、ネオナチを始めとした異人種に対する差別的で攻撃的な描写はドイツの至る所で起きている。同性愛のようなセクシュアリティの問題やゲーム依存症の問題、マフィアによ る八百長問題や青少年の非行など、挙げればきりがない。あくまで日本人としての視点から解釈することとなるが、遠く離れた国で今起こっている事・その状況が我々の直面している問題からは想像ができない事を痛烈に体験できる

そして2つ目の理由は、その重厚なドラマ性にある。ある種でのノンフィクションのようなリアルで容赦のない描写は、ともすればドキュメンタリーのような形で完結させる事も出来たかもしれない。しかし、この作品はあくまでサスペンスに満ち溢れたドラマだ。主人公のクルトを始め、個々のキャラクターが粒として立っており、各話ごとに見るものを飽きさせない。主人公のクルトだけでなく、他の人物のストーリーも並行して展開する他、暗躍す るタリクアミールの動向も目が離せない。次々に移り変わる展開に、あなたも釘付けになるだろう

まとめ

まだエピソード1ということもあり、これからの展開も十分に考えられる本作品。ドイツ語を勉強したいというニッチなニーズにも最適だし、ドイツの今を知りたいという人にもオススメ。そして、単にサスペンスとしてかなり 秀逸なので、特にドイツに興味がなくても勿論楽しめる。英語による吹き替えもあるし、日本語字幕もあるのでご心配なく。