【ヨーロッパ3日目】ウィーンでクリムトを満喫し尽くした話。+カフェ三昧

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前回の記事はこれ。

大聖堂に入ったり、コーヒーを飲んだりしていたが、まだライプニッツ所縁の場所を訪ねただけで、ウィーンの探検は始まったばかりだ。

2杯目のウィンナー・コーヒーを飲む

またコーヒーハウス。何杯コーヒー飲むつもりだよ。とりあえず名前が観光客受け良さそうな感じの「カフェ・クリムト」で、なかなか賑わっていたので入った。

…このコーヒーも上手い!店のおじさんが、てやんでい感溢れる生粋のウィーンっ子で強烈だった。アダムさんが軽〜くあしらった。ウィーンのコーヒーはどこも美味しい。

オーストリアの宝物庫・ベルヴェデーレ宮殿へ

アダムさんはウィーン大学で研究をしている人なので、色々と用事が立て込んでいるらしく、一旦別れた。僕たちは次の目的だったクリムトの絵を見に、ベルヴェデーレ宮殿(Schloss Belvedere)へ向かった。

ベルヴェデーレ宮殿からの眺め。ウィーン全体を一望できる。
とても荘厳な建物。昔はハプスブルクの王家が居を構えていた。マリア・テレジアなどと深い所縁がある。現在は美術館で、クリムトやエゴンシーレなどのウィーンを代表する画家のコレクションが並ぶ。

日も暮れかけているが、ちゃんと中へ入る事ができた。

館内は有名な絵画作品がビッシリ。例えば、このマリアテレジア一家の肖像画。次期皇帝のフランツヨーゼフや有名なマリーアントワネットも映る。犬が可愛いよね。

館内の最初の方はこういった伝統的な形式の絵画が並ぶ。しかし、奥に行くにつれ、作品の時代も進み、クリムト率いた分離派の作品も目立つようになる。

グスタフ・クリムト『ユディト』を観る

この絵、『Judith(ユディト)』はクリムトの代表的作品の1つだ。旧約聖書に登場する、敵の首を掻っ攫う残酷な女性・ユディトをモチーフとした絵。贅沢に施された金のパターンに、艶かくも柔らかいタッチで表現された女性の肉体美のコントラストが映える。何と言っても特徴的なのが彼女の表情だ。敵王のホロフェルネスの首を獲り、満足げに笑う不気味な顔は、悪に潜む危うさに盗作する美が結晶している。この額縁にも金が施されているところに、クリムトの才を私は感じる。というのも、金という色は美しさを強調するのに便利な一方で、一辺倒に使うには品を損ねかけない危険も孕んでいるはずだからである。金に染められた中でも、それらはあくまで作品中の登場人物を引き立てるために用いられているに過ぎず、金が主題となる事は無い。

クリムトは、中期の様々な作品へ惜しみなく金を用いている。性的な描写も合間って当時の伝統的な芸術家には不評を買っていたようだが、やはり究極の美を追究し、人間の生における最上の喜びをテーマの1つとして掲げていたクリムトにとって、甘美な美しさを放つ金は力強いアクセントとして貢献した。

グスタフ・クリムト『接吻』を観る

そして、ベルヴェデーレ宮殿の持つ最高傑作として君臨するのが、この『Der Küss(接吻)』だ

宮殿の奥に、堂々と鎮座するこの絵は、バラエティに富む様々な名画の中でも一際注目されていた。2019年現在開催中のクリムト展 ウィーンと日本 1900でも流石に展示されなかった。

クリムトは、人間が普遍的に経験する生や死をテーマとし、生きる事の喜び・死に対する恐怖・愛の持つ甘美などを繊細に描いた。この『接吻』は、愛をテーマとした数ある作品群の中でも、傑出して人々の印象に深く刻まれる作品だ

鮮やかな花畑の中、美しい衣装を纏った男女がキスをしている。体格の良い男に抱かれて安心した女の表情は、一度見たら忘れられない。そして、この作品でも特徴的なのが、やはり鮮やかな金だ。クリムトは日本の琳派がかつて描いた諸作品に影響を受けたともされている(前述の特別展にぜひ行ってほしい)。この美しい金が、2人の愛を祝福するように包む。所々に明暗をつける事で、金の輝き方をまるで美しい雨が降るような演出に仕立て、優しさを強調付けている。

『ユディト』と『接吻』の2作品だけからでもはっきりと分かる事がある。それはクリムトによる金の使われ方は一様ではないという点だ。金は美の象徴・力の象徴・喜びの象徴を表す。それは優しい女神のような印象を与える事もあれば、時には危険を孕んだ禁断の果実のような甘さも演出する。ある意味で、金が人に与える印象は、人間が人生を通して経験する様々な美の形を極めて精緻に描写する事ができるのではないだろうか。

グスタフ・クリムト『アダムとエーファ』を観る

またクリムトの絵で恐縮である。これは『Adam und Eva(アダムとエーファ)』という作品で、文字通り旧約聖書のアダムとイブを題材としたものである。

今までの金をふんだんに利用した作品とはテイストが異なり、全体的に暗い印象を持つ。イブの方は、丸みを帯びて柔らかな女性の美しさを表現し、どことなく幸せそうな表情を浮かべている。一方でアダムは暗く、悲しげな表情を浮かべている。この対照的な2人は彼らの物語における悲劇を予感させるものだ。しかし、その裏に意図されるメッセージとして、現在進行形で享受する生の喜びとその先に待つ死や罪への悲しみを示しているようにも取る事が出来る。古典的な題材であっても、クリムトが追い求めていた普遍的な人間の営みへの強い興味と関心が表れているようにも思えた作品だった。

ウィーン最古のカフェ『カフェ・フラウエンフーバー』へ

ベルヴェデーレ宮殿で十分過ぎるくらいに美を満喫した僕たちは、またカフェに行った。ここが、今回来ておきたかったカフェ『Café Frauenhuber(カフェ・フラウエンフーバー)』だ。

何と言ってもここ、数ある有名なウィーンのカフェの中でも最古のものなのだ。

これはカフェの横にある碑文。マリアテレジアらによって作られた宮廷御用達のレストランとして18世紀後半に作られたのがおこりで、その後はモーツァルトベートベンによるコンサートも開かれていた程、歴史があってかなり格式の高いお店なのだ

ここにはよく、ウィトゲンシュタインも訪れていたらしい。

かなり濃く、エスプレッソにも近いが、独特の旨味を持った味わい。なぜかMilka。こんな感じで酒も飲まずにコーヒーばっかり飲み歩いていた1日だが、かなり充実した内容になった。

シメはヨーロッパの定番、トルコ系料理のDönner(デュナー)。18世紀とか19世紀の華やかな感じが多かった1日だけど、なんだかんだ、こういうのが一番美味いんだよねぇ!

これまた定番のジャンクフードである、ベトナム系料理Wok(ヴォク)。醤油がだいたい置いてあるので、ぶっかけて食べると本当に美味い。

こんな感じでウィーンが終わった。あまり長くは滞在しなかったけれど、全然不満なく楽しめる良い街だった。案内してもらっていたアダムさんと夜に飲んで、空港へ向かったのだった。

次回、ケルン!