ドイツNetflixの刺激作『我らはウェイヴ』を観た。

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Cinema
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概要

独Netflixは2019年、新シリーズ『Wir Sind Die Welle(邦題:我らはウェイヴ)』を発表した。

ドイツの社会に疎外感や矛盾を感じた若者達が団結し、抵抗を試みる様を描く。

作家Todd Strasserの小説『Die Welle (The Wave)』をモデルとしている。原作は1981年に書かれているが、現代の社会問題に合わせた形で再構成が試みられている。その結果、見る側はドイツ社会が孕む社会問題(移民、ビーガニズム、極右政党、武器輸出)について批判的な視点から理解を深める事が出来るようになっている。

また、登場人物の心境の変化をそれぞれの視点で追い続ける事で物語への没入感を醸成し、単なる社会派ドラマに終わらない魅力を十分に引き立てている。オススメだ。

あらすじ

舞台はドイツのとある小都市メッパースフェルト。この町の高校にある日、トリステンという転校生が現れる。彼は周りと群れる事を拒む一風変わった青年だった。この町に同じく住む少女レアは両親と住み裕福な不自由ない生活を送るも、両親に将来を決められているような束縛感を感じていた。トリステンがアラブ系移民のラヒーム、パンク風な反抗的少女ザジー、近くの工場に両親の職が奪われたハーゲンと知り合ってグループを作ると、レアもそこに合流するようになった。彼らは更に社会から疎外感を感じる若者を集め、より良い社会を求めて活動する「Die Welle (波)」を結成するようになる。

評価

私の感想を要約すると、本作は見応えがしっかりある作品に仕上がっていると思う。いくつか理由を解説していきたい。

見所としてまず最初に伝えたいのが、本作が扱う社会問題に対する切れ味の鋭さだ。

この記事でも最初の方で触れたが、この作品はドイツの現代社会が抱える様々な矛盾に対する”反抗”がテーマになっている。例えば、移民問題が例として分かりやすい。目下課題となっているコロナウイルスを除けば、つい先日までは常に移民問題がドイツでは議論の中心となっていた。

ニュースや新聞ではこの問題について仕切りに取り沙汰されていたが、それら全てがドイツに住む移民達、あるいは移民に接する人達のミクロな視点にスポットライトを当てる事が出来ているかというと、それは限界があるだろう。顔がアラブ系だからクラブに入るのを断る、移民に差別的な発言を浴びせる…。自分がドイツに住んでいた時はこういった光景はかなり頻繁に見た。考えてみて欲しいのは、「こういった事が自分事になった時、貴方は何を感じ、どう振舞うのか」という事だ。登場人物達の視点から描かれるストーリーを追っていく内に、様々な問題について主観的に考える追体験の場を提供しているように思う。ドイツから遥か遠く離れた日本からであれば、一層貴重な体験となるはずだ。(※勿論、この物語で描かれる主張が正しいとは限らない。情報は割り引いて考える必要がある。)

その上で見る者に訴えかける強いメッセージ性が込められている点も良い。登場人物達が「Die Welle」として活動を続けていく中で、暴力に走る事で彼らは何度も挫折する。そこから導かれる、「世界を変えるためには何が必要か」という問いに対しての彼らの答えが生まれる。ある意味で勇気付けられるような所もあるし、ある意味ではやり方に賛同できない部分もある。

政治には元気の無い日本でも、全共闘みたいな事はしないまでも、少しは声を上げる(せめて選挙に行く)べきかもしれない。

その過程をオリジナルはドイツ語なので、ドイツ語を勉強したい人にも良いかもしれない。ドイツの現代社会を理解したい人にもオススメだ。(内容はリベラルなので中立的とは言えない)

シーズン2に期待。